名簿
概要
顧客管理(名簿管理)についても、本システムでは従来のシステムとは異なるアプローチをしています。 従来のシステムでは、次のような単純な表で表現する場合が多いと思われます。
顧客コード |
名前 |
郵便番号 |
住所 |
電話番号 |
その他の情報 |
初心者がExcelやAccess等で名簿を作成する場合にもこのような表を作成することと思います。 しかし、このような単純な表形式の名簿で現実社会をモデル化することにはかなり無理があります。
- 世帯を表現することができない。
個人の集合体である「世帯」を表現することができません。 また、世帯が転居した場合には、その世帯に属するすべての個人の住所をそれぞれ変更しなくてはなりません。
- グループ(法人など)を表現することができない。
表の中に個人と法人を同列に登録してしまうと、不都合が生じます。 まず、法人にどの個人が所属するかを表現することができません。 また、法人間の関係(親会社・子会社など)も表現できません。
さらに、従来型のシステムでは「顧客名簿」と「仕入先名簿・メーカー名簿」などが 分かれているのが普通と考えられます。 この場合、「顧客でもあり仕入先でもある」という会社が存在したら、 その住所等のデータは二つ存在することになり、別々にメンテナンスする必要があります。
より現実に近いモデル化
これらのことをふまえ、商品スタッフIIの顧客管理(名簿管理)システムでは、 次のようなモデル化を行なっています。
- 登録対象を「個人」と「グループ」に分ける。「グループ」とは法人や団体を表す。
名簿データは個人用とグループ用に分けられます。どちらも「顧客」として扱うことができます。
- 複数の個人をまとめて「世帯」とする。
個人には住所・電話番号のデータは持たせず、個人の所属する世帯に持たせます。 こうすることで、世帯の住所・電話番号を変更すると、所属するすべての個人のデータが自動的に変更されます。 また、世帯内の個人登録順序を決めることができ、これは連名でDM等を送付する場合に表示される名前の順序となります。
- グループには任意の個人を所属させることができる。
グループには「肩書」をつけて任意の個人を所属させることができます。さらに、個人を複数のグループに所属させることも可能です(例えば、会社と地域団体など)。
- グループ間の階層的な関係を決めることができる。
例えば、親会社・子会社の関係を決めることができます。この関係も木構造です。
- 世帯・グループの住所を木構造で管理することができる。
世帯もしくはグループが住所を持つことができますが(個人の住所は所属する世帯のものが使用される)、この住所を木構造で管理することができます。
メーカーや仕入先なども「グループ」ですので、メーカー・仕入先であると同時に、 そのまま顧客としても扱うことができます。 また、スタッフ(従業員)も「個人」ですので、スタッフであると同時に顧客です。
新しいモデル化の理由
このような「より現実に近いモデル化」が必要である最大の理由は、売掛金回収です。 本システムでは以下のようなケースをスムーズに扱うことができるようになっています。
- 売掛金回収のできない個人が発生した場合、同じ世帯の別の個人に入金をお願いする必要がある。
- 親会社が複数の子会社の売掛金をまとめて入金することがあり、 入金額がどの会社の売掛であるかを素早く把握できる必要がある。
新しいモデル化による、このようなケースの取扱いの詳細は別項で説明します。
売掛の発生しない、あるいは回収の問題の無い店舗ではこのモデルを使用しなくとも構いません。 従来型の単純な表による顧客管理とすることもできます。
もちろん、最初はこのような単純な表による顧客管理とし、 徐々に上に述べた顧客管理に移行することも可能です。 複数の個人を世帯としてまとめたり、個人として登録されたものをグループに変換することが可能です。
顧客の構造
まとめますと、本システムでは顧客とは以下のようなものです。
- 顧客とは個人あるいはグループのどちらかです。
逆にいえば、個人あるいはグループを作成すると、それは自動的に顧客となります。 個人は住所を持つことはできませんが、グループは住所を持つことができます。
- 個人は必ずただ一つの世帯に属します。複数の個人が同じ世帯に属することがあります。
個人は住所を持つことができない代わりに、世帯は住所を持つことができます。
- 個人は複数のグループに所属することができます(属さなくても構いません)。
その際に、グループ内での肩書をつけることができます。 複数のグループにおいて異なる肩書きで所属することができます。 例えば、××会社の社長と××町内会の会長です。
- 個人はスタッフ(従業員)の役割を持つことがあります
詳細は端末とスタッフを参照してください。
- グループはメーカーあるいは仕入先の役割を持つことがあります。
多くのグループは単なる「顧客」ですが、メーカーあるいは仕入先の役割を持つこともできます (メーカーかつ仕入先であるグループもありえます)。 逆にいえば、メーカー・仕入先を作成すると、それは必ずグループであり、必ず顧客になります(※)。
- 複数のグループは階層構造を持つことができます。
例えば、親会社・子会社、役所とその中の課などです。
※実際には、メーカーや仕入先が「顧客」となる場面は多くはありませんが、 「顧客」という呼び方自体が便宜的なものとお考えください。
顧客の属性
顧客には、その性質によって異なる属性があります。
共通属性
顧客としての共通属性は以下のとおりです。
- 顧客コード
顧客の通し番号です。顧客を作成するとシステム側が一意な番号をふります。 顧客ラベルの印刷時に、このコードをもとにインストアJANコードを作成します。
- 顧客ランク
顧客の信用度を表します。「顧客ランク」を参照してください。
- 締日
顧客の締日です。デフォルトは末日です。 売掛のある顧客への請求書作成時に、いつまでの売掛について請求するかを決めるために 必要になります。 請求書の作成操作については請求書一覧画面を 参照してください。
- ポイントカード登録
ポイントカード発行済みの顧客としてマークします。 ポイントシステムを参照してください。
- DM不可
ダイレクトメールを拒否された顧客としてマークします。 一括コンタクトなどでDM送付対象顧客を選択する場合には、 この顧客を除いてください。
- 外税販売
このマークがされた顧客への販売を外税で行いますが、現在のところ実験的な機能です。 マークされた顧客について、商品スタッフIIのすべての機能が外税対応になるわけではありません。
※外税販売については外税販売を参照してください。
個人属性
顧客が個人の場合にのみ現われる属性です。
- 抹消
死亡あるいは転出の場合にその日付を設定します。
- 名前、読み、性別、誕生日
読みは任意ですが、読みで検索したい場合に役に立ちます (「検索」を参照してください)。 性別、誕生日(生年月日)はもちろん任意ですが、 入力してあると顧客抽出画面 での条件設定にて抽出することができます。
- 携帯
携帯電話番号です。
- 個人メール
個人のメールアドレスです。
- 備考
個人に関する自由なメモを入力できます。
世帯属性
個人は必ずただ一つの世帯に属しますので、必ず世帯属性も持ちます。
- 郵便番号、住所1、住所2
住所です。1,2の区分けは任意です。
- 固定電話、FAX番号
世帯の電話・FAXです。
- メール・URL
もし世帯で共通して使用しているメール・ウェブがある場合はこれを入力します。
グループ属性
顧客がグループの場合にのみ現われる属性です。
- 抹消
廃業あるいは転出の場合にその日付を設定します。
- 名前、読み
読みは任意ですが、読みで検索したい場合に役に立ちます。
- 郵便番号、住所1、住所2
住所です。1,2の区分けは任意です。
- メール、URL
グループの代表メール・ウェブです。
グループは親グループと複数のグループを持つことができ、 肩書き付の複数の個人を持つことができます。
グループのメーカーとしての役割についてはメーカーを、 仕入先としての役割については仕入先を参照してください。
顧客ランク
顧客にランク付けを行うことができます。 本システムでは、顧客ランク種類の登録と顧客へのランク設定をサポートします。 デフォルトでは「通常」という顧客ランクが提供されており、すべての顧客および顧客不特定の場合は デフォルトでこのランクに属します。
「通常」以外の顧客ランクを自由に作成することができ、顧客を自由に割り当てることができます。
例えば、売掛の入金をいつまでもしてくださらないお客様には、それ以上売掛販売をしてはなりませんから、 新たな顧客ランクを作成し、「売掛不可」「クレジット不可」「事務所確認」などの属性を設定し、 回収不能の可能性のある売掛販売を防ぎます。
また、顧客のランクによって販売価格を異なるものにすることができ、 さらに、特別なお客様に割安価格で販売する場合には、レシートにその旨を印字することもできます。